第46話

桜森さんはふわりと、柔らかく笑った。



うーわ。イケメンの優しさスマイル、良き。



「今!あたしを見たよね!感激ぃ!入学したって覚えててくれたんだぁ!」



桜森さんのスマイルに軽く心臓やられそうになっていると、背後からはしゃぐ声が聞こえた。


さすがに後ろを振り向くのはまずい。だけどこれだけはしゃいでいる奴の顔は見たい!



好奇心と常識の狭間で葛藤しながら不意に隣の真姫を見ると。



「おい、常識はどこに置いてきた?」


「ん?」



真姫、ガン見。しかも椅子の背もたれのてっぺんに肘を乗せて体ごと。呆れる私に真姫がグッと近づいて、耳元で囁く。



「あれ、うちの親戚だわ。恥ずかしすぎ。」


「てか親戚どんだけいんのよ。」



まぁ、よく有名人になったら知らない親戚が増えるとか聞くけど。蓮水さん規模の由緒正しい大きな家だと、親戚の数も莫大らしい。



というか、私の周り、結構蓮水さんの親戚だらけじゃない?怖くなってきたんだけど。

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