第43話

壇上の桜森さんが優雅に祝辞を述べる中、真姫から聞く誉人周辺の人たちの話は、まるでドラマのようで申し訳ないけど面白い。



「有栖美月がずっと不機嫌だったらしいよ。周囲に当たり散らして、どうして氷鷹様は私を選んでくれないのぉ?って泣きながら絶叫してたって噂もあるくらい。」


「…真姫。嫌いって言いながらめちゃめちゃ詳しくない?」


「だろ。最近私、あの女のことホントは好きなんかもしれないと思い始めてる。」



えへへ、と笑う真姫の目の奥は笑っていないけどね。子供の頃は親戚で集まるたびに虐められていたらしく、真姫の有栖美月嫌いは筋金入りだ。



まぁ、第三者の私から言わせればきっと、その虐めは彼女なりの牽制だったと思うんだよね。



近くで誉人が生まれた。いとこより血の薄い人たちはみんな彼のお嫁さんになれる資格がある。



もちろんそれは全世界の若い女性、もしくは男性に権利があったんだろうけど、普通に考えれば親戚で年が近く、一緒に過ごす機会が多い人がって考えるのは自然だ。

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