第39話

俺は誉人だ。しかし万能ではない。俺以上に頭が良いやつは死ぬほどいるし、俺より仕事ができるやつもいる。それなのに俺は誉人であるというだけでこの世の頂点に立たされている。



そんな中で、自分たちも万能であると信じて疑わない奴らがいる。俺の親戚の奴らだ。



幸い両親や敦斗の桜森家、香坂の家など、”まともな”奴らもいるが、大半の親戚はほぼ血が繋がっていない者たちまで見事に勘違い人間と化した。しかし始末が悪いのは、謎に溢れ出ている自信がそうさせるのか、多くが資産家だからか元々金持ちが多い。始末の悪いことに悪知恵も働くため没落するようなヘマもせず、むしろ繁栄と栄華で満たされている。




得に有栖美月の家は、蓮水家に次ぐ資産を持つ家であり、何より一人娘の有栖美月は、父親の事業を手伝いながら、自ら広告塔がてらタレントのような仕事もしている。



ファッション雑誌の表紙を飾ったり、テレビの報道番組で意見を言ったり、プライベートでは世界的コンテンツの”ミーチューブ”で動画を配信して登録者数もかなりすごいと聞いている。



…と、なぜそんなに詳しいのかというと、あの女がパーティーなどの場でペラペラと喋るからだ。まるで面接での自己アピールのようだと、内申辟易しているが。面接でのアピールにしては、自画自賛が過ぎるけどな。




とにかく、俺が動けばろくな女が引っかからない。彼女に意識してもらうには、アプローチの方法を、変えてみる必要があるな。

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