第33話

実際は、意識すらされていないどころか、店のオーナーの女がなにやら騒ぎ出して逆に迷惑をかける始末。



どうやらオーナーの女はうちの親戚筋だったらしく、自分の店に俺が通ったから嫁として選ばれたと勘違いしたらしい。



…それを本当に察して欲しい女にはスルーされたのに、だ。



俺に近づこうとする女は大抵同じ。10代の女でもしないような媚びた仕草、耳にまとわりつく甘ったるい声音。許可もなく距離を詰め体に触ってくる姿はまるで獲物を前にしたイノシシのようだ。



鼻息荒く目を瞬かせ、色欲を孕んだ淀む目を向けられれば、鳥肌が治まらない。



子供の頃から向けられてきたそれは俺にとってはトラウマでしかなく、そういう女は嫌悪の対象だった。

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