第31話

「でも、どうするんだ?あれはもう勘違いしてしまっているぞ。」


「…なぜケーキを買っただけであれほど盛り上がれるんだ?」


「その答えがそのまま、お前の今の悩みへと繋がるんだが。」


「…。」



考えてみて頭を抱えた。そういうことだ、よな。客としてケーキを買っただけで、なぜ俺の気持ちが伝わると思ったんだ?



水無瀬 七緒みなせ なお。18歳。うちの親戚筋に当たる香坂真姫の高校の同級生。大学進学が決まっており、今は卒業を待つだけだ。



あのパーティーになぜ参加していたのかは不明だが、見える範囲ではひたすらに料理を嬉しそうに食べていた様子しか知らない。まさか食い気だとは思わないが、俺が目当てで来たわけじゃないだろう。



それに、香坂真姫は一族の中でも俺に興味がない、良識のある女だと認識している。このまま嫁が決まらなければあの女はどうだと側近たちに言われていたくらいだった。

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