第30話
口をへの字に曲げている敦斗が、深いため息を吐く。
「あのパーティーに来てたんだから、花嫁志願なんじゃないのか?」
「…いや。どうやら香坂のところの娘の枠で参加していたらしいがそうじゃないみたいだ。それに、花嫁志願ならこんなに苦労していない。」
「そりゃそうだ。」
肩をすくめた敦斗。いちいち古いリアクションを取りやがって。こいつの嫁は12歳も上だからか、色々と伝染ってやがる。
「だから変なのしか釣れなかったのか。」
「おい。人の女を魚呼ばわりするな。」
「まだ自分のじゃないのに。お前しんどいな。しかも彼女は釣れてないだろ。釣れたのは別の魚。」
「…うるさい。」
執務室の、一番落ち着く椅子に座って天を仰ぐ。神よ。俺は誉人であり、なんでも望みが叶うんじゃなかったのか?
なんて。好きで誉人になったんじゃないと日頃から思っているくせに、こういう時だけは都合の良いことを考えてしまう。
俺なんて至高の存在には程遠い。気になる女すらまともに口説けないのだから。
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