第25話

結局その日は、ケーキの用意ができたと知るとどこかへ電話をかけた蓮水さんの合図で、お付きの人たちがなだれ込んできて、大量のケーキはあっという間に運ばれてしまった。



『待た来る。』



愛想もなくそう言った蓮水さんが帰っていったのは一昨日のこと。



そのあとのオーナーがウザかった。


私が選ばれた!と人目も憚らず叫ぶそのさまは怖さしか感じず。


どこか虚空を見つめてあの女に勝ったと叫ぶのを呆然と見ながら、私と松村さんは徹底して存在を消して仕事をした。



とりあえずツッコむことが多すぎるのは分かったけど、これ以上考えるのはやめた。とりあえず芸能人よりも貴重は蓮水氷鷹に会えたというだけで私は幸運だ!と喜んでいることにしたかったから。



とりあえず、オーナーがこのまましょっちゅうここに来るなら、先々辞めるべきかを検討しようと思う。


昨日はバイトが休み。



ある程度一昨日のことは良い思い出ということで、ワンチャン、うちのオーナーが誉人の奥さんになれるという慶事を喜ぼうと出勤した今日のこと。

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