第16話

蓮水氷鷹は無理でも、彼の傍にできるだけ近づいて甘い汁を吸いたいなんて輩はいくらでもいる。



だから、蓮水家の分家筋に当たる家の、特に女性は狙われやすいのだ。



「でもなかなか無謀だね。真姫の元カレ。」


「でしょ?テレビで見る女優と付き合いたいから別れるって言われたようなもんじゃない?訳分からん。」


「ふはっ、それは確かに言えるかも!」


「まぁ、頭弱いやつだったからな。それが可愛くて良かったのよー!」



自分を抱きしめて悶える真姫に、思わず笑ってしまった。



有栖美月は蓮水氷鷹の婚約者候補筆頭なわけで。ほぼ確実とされているのに彼女と付き合いたいと思うなんてよほど自分に自信があるか馬鹿なんだと思う。



だけど、そんな彼氏のことを引きずるでもなく、可愛かったと言える真姫の性格が気持ちよくて、やっぱり真姫のことが好きだなと改めて思う。


他の人を好きになったと言って別れた相手を罵るでもなく、良いとこもあったと言えるのはかっこいいし可愛い。


…ダメ男好き、とも言うけど。

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