第15話

「私あいつ嫌い。」


「あんたは美人はみんな嫌いでしょうに。」



なんとなく有栖家のド派手な面々を見ている私の隣で、真姫が吐き捨てる。


そして私の返答に目を細めて口を尖らせた。



「蓮水様がまだ婚約してないのは自分がいるせいだみたいな妄言を吐き続けてる美人なんてキモいだけでしょ。」


「おおう、今日は毒舌がすごいね。」


「だってこの間別れた奴、有栖美月が好きだからって言うんだよ?訳分からん!」


「それは確かに訳分からんね。」



真姫はよく彼氏が変わる。それは彼女自身が悪いというより、彼女を取り巻く環境に男が寄って来ているからなんだと私は思っていた。



真姫は美人だし、成績はー、まぁまぁ。はは。まぁ、成績を置いても家は金持ちだし、何より蓮水家の分家の中でも中間くらいの地位に位置する。



真姫は寂しがりやだ。親が揃って別々の会社を経営している社長さんなので、もちろん忙しい。家に犬たちがいるけど、やっぱり話して笑い合える相手はほしいところ。


その反動なのか、彼氏が絶えない。だけど絶えないようにしているせいか、まぁまぁだめな男率が高かった。今回の有栖美月が〜彼氏もその内の1人に当てはまる。

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