第14話

その中で筆頭と言われているのが、有栖美月ありすみづき率いる有栖家だ。


有栖美月は今25歳の超絶美人。高そうな薄い緑色に金の刺繍という上品な着物に身を包み、扇子で口元を隠して一族を率いて堂々と入場していた。


取り巻きらしい分家の家の女の子たちがそれを追うように粛々と続く。



蓮見家の分家最上位とされている有栖家のひとり娘は、溢れる自信を醸し出しながら大名行列のようにゆっくりと歩いていた。



その間も”若い”男性に話しかけられては小さく頷き、女性が話しかければ鼻で笑う。



傲慢をそのまま体現したような態度だったのに、美人というのは迫力ですべてを黙らせてしまうのか、不快そうな顔をしたのは彼女に喧嘩を売ろうとした女性たちだけだった。



わたくしのお通りよ!なんて言葉が聞こえてきそうなほどの派手な行列は、蓮水氷鷹が座るであろう場所の隣にあった休憩ブースのような所で歩を止めた。


そこで飲食を初めて雑談しているあたり、やはり分家筆頭には特等席が与えられているらしい。

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