第2話

特に優秀な2人の他に、少しだけ血の染み込んだ者たちが生まれた。



生命は脈動を繰り返し、人間だったものは違うナニカへと変化する。



しかし、愚かな人間がそれに気づけるはずもなく。その脈動は数年をかけてゆっくりと進化していった。そして人間が気づいた頃には、誉人の世が訪れていたのだ。



『あーあ、痛かった。でも退屈よりはマシだったな。』



ニヤリと口元を歪めた”かの方”の美しい指先には先程の傷など存在しない。



しかし確実に、浸透した血は彼らを素晴らしい生き物へと変えた。




それが、誉人ほまれびとの起源。



”かの方”に愛された誉人は人間より賢く、美しく、気高い。彼らが人間たちを遥かに凌駕し、この世を支配するのは当たり前のことだった。



しかし、生まれた誉人は2人。彼らは”かの方”の希望通り、互いを良しとせず、いがみ合い、長い年月をかけても例外などなく、争い合った。



そして”かの方”の気まぐれで生まれた、唯一の才能を与えられた客人きゃくじんは、屋敷に滞在する客人のごとく、ある者は誉人の1人に仕え、ある者は敵対しと、自由に振る舞った。




誉人は決して人間のような愚かな存在にはならない。なぜなら彼らは、”かの方”が作り出した最高にして至高の存在なのだから。





これは誰もが知る御伽噺。



老若男女、都会に住む者から孤島に住む者まで。



誰もが”当たり前”に知っている話。

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