第56話

「ゆいかーー!おそよう!」


金髪にハデハデなギャルメイクの田島真琴(たじままこと)が流行らせようとしている挨拶をしてくる。


「・・・こんばんわ、真琴」


「おい!おそようっつってんじゃん?」


頬を膨らましてまつげをバサバサさせながら言ってくる真琴はケバいけどかわいい。


そんな真琴は隼人の妹だ。元々定時制に通っているのを知った奏が友達になれるようにと配慮してくれたみたいだ。


奏は眼を見れば人が分かるという。女嫌いなのに実際に会って確かめてくれたそうだ。


奏が確かめなくても私はこの子と友達になっていたと思う格好はド派手だけど一目見たときこの子は信じられると思った。


奏に初めて会ったときに似ている。自然と心にしみる感じだ。


「どうだったの?昨日の合コンは?」


真琴は恋多き女の子らしくいつも出会いを求めて合コンばかりしている。でも行く度に隼人が会場にやってきてその場を凍り付かせるのでいつも男ができないと怒っている。


どうやら隼人はシスコンらしい。


「どーもこーも、また隼兄乱入で氷河期になってケー番すら無理だったしぃ」


よくもあきらめないもんだと感心してしまう。


前は白虎の追っかけをやってたらしいけど、隼人から私の事情を聞くと冷めた目で「サイテー」とつぶやいた後、あっさり追っかけ辞める宣言をしてほんとに辞めてしまった。


本人曰く追っかけとは、冷めてしまうとだめらしい。


私たちは毎日学校で行動をともにして、たまに昼間遊んでいる。

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