キス、キス、キス。

第53話

奏は家では必ず私の何処かに触れている。


それは手を握っていたり、腰を抱いていたり。


たまに触れるだけのキスをする。


隼人達だと近付くだけでまだ身体が震えるのに、奏は逆に安心する。キスに至っては少し嬉しいとさえ思う。


私は奏が好きなんだと思う。もちろん男性として。


あの日以来私を支え、愛してくれた人。自分も辛いだろうに性的なことは一切強制はしてこない。


強制といえば私の部屋のベッドが無くなった。


「正式に俺の女なんだからもういらねえだろ?」


と超さわやかな笑顔で言われた。

今までほとんどうなされて奏のベッド行きだった。

自分のベッドは使ってなかったから今更っちゃ今更だけど。


たまに休みの日、2人で一緒に寝ると朝までぐっすりで、うなされたことがない。奏の隣にいるだけで安心する自分がいるからだろうか。


今日は休日で、ソファーで奏は私を右半身に納め、腕を回してノートパソコンをいじっている。


私は大好きな読書。ふと視線を感じて奏を見ると見つめていた漆黒の眼と合った。


「・・・なに?」


最近敬語を使ったら犯すと脅されたので、敬語を無くしていた私が問いかけた。

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