第41話

たった2ヶ月で。それも初対面の相手に心が動くなんて。



弱ってるとはいえ蓮に申し訳なかった。



今はまりかと楽しくやっているとしても。



白虎の名前を汚した私を探しているんだとしても。



お兄ちゃんたちに向けられたあの目を蓮にされるのだけは耐えられなかった。



白虎の皆の暖かい笑顔を思い出す度に、蓮の甘い目を思い出す度に発作を起こして息が乱れる私を奏はいつも救ってくれた。



他の男を思って涙する私を、奏はどんな気持ちで見たんだろう。



考えるだけで胸が張り裂けそうだった。



だけど、奏は一切悲しそうな顔すらせず、終始穏やかに、嬉しそうに、



「お前が傍にいることが嬉しくて堪らない。」



と私の背中を支えてくれた。



次第に、時間は関係ないのかもしれないと。



焦る必要はない。私には時間がいっぱいできたんだからと、そう思えるようになった。



奏の穏やかな雰囲気に毒されてしまったのかもしれない。



前ほど死にたいとは思わなくなっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る