第28話

車は5階建てくらいのビルの前に滑り込んだ。



このビルの最上階が奏の家で、1階が事務所。真ん中は全て奏の部下の居住スペースだという。



入り口など全てのドアには厳ついスーツが立っている。



そんな中を堂々と私を抱いたまま歩いていく奏。

その後ろに隼人さん。

鉄さんは車に残ったらしい。




厳ついスーツは奏に気づくと次々に頭を下げていく。



頭を下げる前にものっ凄くビックリした顔をしているけどやっぱり奏に抱かれている私のせいだろうか。



・・・ああ、恥ずかしい。



姫抱っこされると嬉しいってよく言うけどこんなの単なる恥さらしだ!



後ろからずっとクスクス聞こえるのは隼人が笑っているので間違いないだろう。




・・・あとから奏に仕返しして貰おう。



乗ったエレベーターが上階に着くと

一部屋分だけ扉がある。



どうやら最上階はワンフロアだけのようだ。



指紋認証、網膜スキャンでようやくカードキーをいれ、扉を開ける。



私はそんな姿を見て頭の中で近未来ヤクザ奏。なんてアニメにありそうだなと考えてニヤニヤしていたら読まれたのか睨まれてしまった。



・・・近未来人間じゃなくエスパーだったらしい?

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