新しい生活

第25話

「あのー、もういいかな?」



バッと声のした方を見ると部屋の入り口から隼人さんが頬を染めてこちらを見ている。



「・・・チッ、」



急に離れた私が気に食わなかったらしく奏は不機嫌になってしまった。



「いや~甘々な奏なんて見た事なかったから俺まで赤面しちゃった」



隼人さんは舌をペロッと出すけど正直、可愛く無い。



「す、すみません?」



なぜか私が謝ってしまった。



「ゆいかちゃん退院していいんだってさ。車から落ちたのに体強いね~!」



ほ、ホントにね。



まさか今日退院とは・・・



「・・・今日は一旦帰って明日お前に必要なものを買いに行こうぜ?」



そう言う奏は私をお姫様抱っこした。



「そ、奏!私、一人で歩けるよ!」


「今日は絶対安静だからな。黙って抱かれてろ」



そう言って真っ赤な顔の私と呆然としている隼人さんを無視してスタスタと部屋を出た。



車につくと一服していた鉄さんが私達を見るなり目を見開いてタバコを落としたのが目に入ってしまい、私は居た堪れない。




・・・・・恥ずかしい・・・




奏は車に乗り込んで私に膝まくらをするとご機嫌で私の髪をいじって鼻歌まで歌っている。



それがなぜか演歌なのには本気で吹き出しそうになったけど。



呆然としていた鉄さんと走ってきた隼人さんが慌てて車に乗り込む。

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