第22話

「今回は完全な白虎の落ち度だ。内部にも目を配れないどころか同じ姫でも総長の女をこんな目にあわせるなんて話にならねえ。

しかも立場を逆転させた上にお前を放置だなんて。

ウリの話も調べればすぐ嘘だと分かる。なのにあいつらは妹の話だけを信じた。

・・・しかも身体で慰めて貰っただ?

俺の弟がこんなに馬鹿だったなんてな。

・・・だから俺のものになった以上、もう誰にもお前を譲る気はねえから。」




キッパリ言い放つ奏に唖然としてしまう。



と同時になぜか信じられると思った。



あんなに人に絶望していたのに。


この人を無条件で信じてしまうのはなぜだろう。




そんな時、



「・・・泣くなよ。辛いのか?」



・・・・・え?



気が付けば、頬を涙が伝っていた。



泣いたことなんて無かった。



辛いことがあっても、嬉しいことがあっても。



私にはもう涙を流すことは一生ないのだと、そう思っていたのに。



そのとき、柑橘系の薫りがして、気が付けば、私は奏に抱きしめられていた。



「お前が泣くと、苦しいんだ。」



奏の震える声を聞いて、酷く安心した。私に今まで足りなかったのは安心感だったのだと、思った。



私はこれ迄の全てを洗い流すように泣き続けた。



その間奏はずっと私を抱き締めて頭を撫でて居てくれた。

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