第21話

「・・・・・え?」




見つめ合ったまま数秒、2人固まっていた。



それは短い時間に過ぎないだろうけど私には永遠に近くて。



ゆっくりと言葉の意味を呑み込んだ私は顔を真っ赤にして固まった。



「えっ?え?・・・私?え?」



こんなに綺麗でかっこいい人が私なんかに?




疑問でいっぱいの私に奏は続ける。



「お前の様子がおかしくなったのはすぐに分かった。

けど、お前は弟の女だから手出しはできなかったし、同時期に仕事でゴタゴタしててやっと片付いたのが昨日だった。

仕事を片付けてお前に会いに行く途中で突っ立ってるお前見付けたんだ。

まさか・・・レイプされてたなんて。

なぜ弟を差し置いてでも助けなかったのか・・・

悔やんでも悔やみきれない・・・

助けてやれなくてすまなかった。」




奏は私に深々と頭を下げた。



・・・若頭って偉いよね?こんな小娘に頭なんて下げちゃいけないんじゃない?




わたわたする私をよそに、奏はほんとに哀しそうに、



「惚れた女を守れなかった男としても、蓮の兄貴としても、白虎のOBとしても、俺はお前に謝らなくちゃなんねぇ。すまなかった。」





・・・・・ん?




「・・・・・OB?」



「はぁ、そこかよ・・・」



奏は呆れている。



「謝って貰う必要なんてありませんが、OBって?」


「俺は蓮の2代前の総長。因みに間は隼人。」



な、なんか総長だらけ!総長ってゲームでいえばラスボスだよね?



私の周り、ラスボスだらけ?

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