いきなり婚約ですか?

第18話

気が付けば、病院らしきベッドの上で。



見るからに特別室・・・?




「・・・・・死ねなかったのか・・・」




なんだか全てがどうでもいいや。




現実を拒否するように、私は目を閉じた。



しばらくして目が覚めると、奏がいた。




目を覚ました私を見て、奏はホッと息をつくと鋭い眼光でこちらを睨む。




「てめぇ、勝手に死のうとしてんじゃねぇ!お前は俺が買うんだって言ったよな?」



悲しそうに怒りをぶつける奏を、私は鼻で笑う。




「それで?私をセフレにでもするつもりですか?そーゆーのは妹に言って下さい。あの子なら相手してくれますよ?お金とか連れて歩く男のブランドとか大好きですから。蓮もそうだったし、妹を見れば私は霞むだろうからもうほっといてくれて大丈夫です。」



無表情で言う私を、奏は哀しげにみつめる。




「・・・お前になにがあった?

何がお前をそうさせるんだ。」



目の前で哀しむ奏を見て、なぜか話す気になってしまう自分を不思議に感じながらも、口を開く。



「・・・聞いて後悔しても知りませんよ?」




「大丈夫だ。話してくれ。」




私は生い立ちから昨日までのことを声を震わせながら語った。



なぜかこの人には話せてしまう。



なぜだろう。私おかしくなっちゃったのかな。




私は小さい頃から泣いたことがない。



蓮の前でも泣けなかったんだ。



だからこんな話をしてもやっぱり涙はでてこない。




私が話終えた時、奏は眉間にシワをよせて険しい顔をしていた。




手は血が出るんじゃないかってほど握りしめて震えている。




「あの、なんで怒ってるんですか?」



「あ?」



・・・般若の顔で睨まれ、



「す、すいません」



つい謝ってしまった。





奏はため息をついて真剣な顔で私を見る。



「・・・俺の話も聞いてくれるか?」



「はい。」



  

返事をした私に向けた奏の表情はさっきの殺気溢れる顔じゃなく穏やかな表情で。


彼自身を知りたいと思った自分に素直に従う。

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