第19話

「俺に寄ってくる女はお前の妹みたいに金や地位で寄ってくる奴ばっかりで、そんな女を俺は信用しなかった。

だけど俺も男だから性欲処理のためだけに女を抱いて、高校を卒業してホテルが面倒くさくなると女部屋を作った。

それでいいと思ってた。嫁ももらうつもりも無かったしな。

信用できない女をそばにおくくらいならセフレだけでよかった。けど、」





奏は私にドキリとするほど穏やかな表情で微笑むと、




「お前に出逢った。」




そう言って微笑んだ。




「・・・え?私?」


「ああ。」




訳がわからない。この人に会うのは昨日が初めてのハズ。



「・・・俺は昨日が初めてじゃないんだ。

倉庫なんかでちょくちょく見かけてた。」




・・・気付かなかった。




「お前はいつも蓮を愛おしそうに見ていた。そんなお前の目に俺を写してほしいと思った。

でも、お前は弟の女だ。だから諦めていた。だが、」




奏は苦しそうに言葉を続ける。




「ある日から奴らへのお前の妹の態度がいちいち鼻につくようになった。それと同時にあいつらの目が妹に向いていて…そしてお前の様子がおかしい事に気付いた。」




「蓮達も気付かなかったのに・・・でもそんなに頻繁に来てたのにどうして私は気付かなかったんでしょうか?」




「自慢じゃないが、俺の地位は女たちには魅力的に映る。妹が食い付くのが分かってたから隠れて見ていた。俺の周りに群がる女どもより酷い目をしてる。

お前の妹だら言いにくいが・・・あの女の目は汚れきっている。

だからなるべく近付きたくなかった。」




「え?じゃあ、それなのになぜリスクを負ってまで見に来てたんですか?」




「お前、俺の話聞いてたか?」




なぜか呆れているらしい奏。



「・・・はぁ、まぁ一応?」



奏は溜め息をつくと驚愕することを言い放つ。

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