第13話
「若が・・・」
「・・・おいおい、奏って笑えたんだね?
なんて言っている。
「・・・チッ」
あ、舌打ちした。見ると不機嫌そうに前を睨んでいる。
「・・・ところで」
気を取り直したらしい奏さん。
「・・・ここで何してる?」
どいてくれそうにないので早く話して行って貰おう。
どうせこの人もあの目で私を見る。
「こんな私でも、抱いてくれる人を探してるんですよ?」
薄く微笑む私がそう言った瞬間、奏さんは眉間にシワを寄せた。
だけどすぐにさっきの哀しげな顔になって思いがけないことを言った。
「・・・その後、死ぬつもりなのか?」
「・・・・・ぇ」
まさか、見抜かれてるなんて思わなかった。
「な、なんで?」
「俺は極道の若頭でな。今から死にに行く人間の目は何回も見てきた。」
びっくりしたけど私がこれから死ぬという未来は変わらない。
「・・・そうですか。じゃぁこれで、失礼します。」
私が背を向けると、後ろから
「待て」と声がかかった。
私は眉間にシワを寄せて振り返る。
ただでさえ蓮の兄というだけで嫌悪感が生まれるのに。
あんなに愛していたのに一気に冷めてしまった私は最低なんだろうか?
まりかと蓮の激しいベッドシーンが頭から離れない。
心臓を取ってしまいたいほど胸が軋む。
と同時に蓮への激しい想いはすっと冷えてしまった。
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