第11話

少しだけ長めの漆黒の髪を後ろに流し、漆黒の目、形の良い眉、薄い唇。

真っ黒なスーツに身を包んだ男。



そして何よりその妖艶なオーラ。



あまりの綺麗さに息を呑んだ。



でも、なんとなく、その男を見て蓮を思い出す。


何故かと首をかしげていると、男は吸っていたタバコを消しながら話しかけてきた。



「お前、蓮の女だろ?そんななりでなにしてる?」



(・・・・・は?)



なぜそんなことを知っているのかと、私が唖然と見ていると、彼は再び口を開く。




「俺は蓮の兄貴の奏(そう)という。

・・・痣だらけなようだけど、蓮は知ってるのか?」




鋭い眼光で見つめてくる。




もうすぐ死ぬ私には、睨みなんて効かないけど。



「蓮なんていましたねそーいえば。

今頃まだ私の妹とベッドの上で愛し合ってると思いますよ?」



「・・・なんだと?」



奏さんの口調が険しくなるけどもうどーでもいい私は、彼には早くどこかへ行って欲しかった。

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