第47話

確かに初めは期待したよ?



全属性持ちで悩みの種だったラビットとあっさり婚約解消。しかもファンディスク限定の最強キャラ、テディー・マーシャルの心を射止めた。なんて。



全属性持ちって無双系転生もの主人公のテンプレ設定。これからまさかのモブ無双か?なんて思っちゃうよね。




だけど、この世界はよほどゲームの強制力が強いらしい。



私とテディーの話で盛り上がる中、範囲外にいる主人公たちが、強制力に突き動かされるように、活発に動き出していた。




まず、テディーがとにかく手紙がしつこい。学園で会えばなにかを言いたそうにこちらを見ているし、人気がなければ話しかけてこようとする。そんな目で見られても仲間にはしませんよ。そう心の中でつぶやきつつ、無視を決め込んでいるけど、私の良心が傷まないわけじゃない。


そりゃぁね、最近ラビットはキャロラインにべったりだったから、婚約解消は近いなと思っていたけど。あんなリアクションを取られてしまうと、私が高位貴族のテディーに乗り換えたみたいじゃない?実際そうなんだけど。



だけど、あの腹黒さと魅入ってしまうような見た目に押されれば、頷いてしまうのはもはや使命なんじゃ?とまで思ってしまう。




そういう、やや鬱陶しいつきまといをラビットに受けている間に、キャロラインが教室に置いていた教科書が破られるという事件が起こった。



おいおい、普通に置き勉してんじゃねぇよ。従者いるだろ、持って帰れよと悪態をついた私を他所に、涙ながらに不幸を語るヒロインはますます皇太子と親密になっていく。他の取り巻きたちもやたら距離が近いのを考えると、やはりあのヒドインはハーレムルートを狙っているのだと推測された。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る