第46話

『どうしても会って話がしたい。 ラビット』



こんな内容の手紙が週1くらいで送られ続けている以外は、ものすごく騒がしい日々だったと思う。



「ちょっとこちらに来ていただけるかしら?」



言葉の丁寧な呼び出しを何度受けたか分からない。私がラビットと婚約解消をして、テディーの婚約者に収まったと発表されてから基本令嬢、時々テディーから私を奪ってやろうとする謎の喧嘩を売ろうと画策するバカ男から呼び出しを受けるようになった。令嬢はSクラスの子から下はBクラスまで。流石にCクラスからはないが、廊下でめっちゃ睨まれることはある。



学力とかで差別するわけじゃないけど、テディーの家は公爵家なわけ。流石にAクラス以下の女性たちは高望みし過ぎだと思うんだけど。それか、テディーが私に一目惚れをしたとかアホな噂が広まっているから、それを鵜呑みにしたんだろうか?相手が惚れれば勉強なんて大丈夫、みたいな?



とんでもございません。高位貴族の、しかも公爵家当主の妻でっせ?少なくともSクラス並みの知識は基本装備。それ以上に勉強が続く日々となることでしょう。貴族の夫人とは、旦那があくせく働いている中、お茶会を嗜み、庭園で目を癒し、刺繍で暇を潰して、夜会で華々しく踊ればいい、とでも思っているのかな?



そんなわけないよね。夫人には夫人の仕事があるし、旦那によるだろうけど、領地の仕事の一部は夫人が背負っていかなくちゃならない。それが高位貴族ならなおさら。それだけ統治する領地が多いのだから、必然的にそうなるもの。



魔法の世界があっても、自分の分身を作り出して、それぞれの場所で仕事をさせる、なんて便利な魔法は存在しないんだから。



…ん?作ればそれは可能なのか?




とにかく、私の苦悩も苦労も知らずに、ただ”低位貴族の娘のくせに、美味しい思いしてずるい!”と私に言いに来る女性が後を絶たない、というわけだ。

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