全属性って、無双系転生主人公のテンプレでは?
第34話
ざわっ…!
Sクラスの教室は、驚愕の雰囲気で満たされていた。
誰もがありえない事実に息を呑み、そしてヒソヒソと近くの人間と囁き合っている。
先程、無事皇太子が水属性、カチュアが火属性、キャロラインが珍しい聖属性持ちであると診断された。そして、ヴァネッサが闇属性ということも。
ヴァネッサに関しては、闇属性がイメージ的に忌避されるにも関わらず、本人はそりゃそうだろうな、というリアクションしか取っていない。流石ヴァネッサ。だけど周りは彼女を恐れ、眉を潜めた。
そんな現象に腹立たしさを隠しもせず、今、水晶玉の前に手を翳していた私こと、モブであるアシュリー・ケイスはその怒りをもふっ飛ばす驚愕の事実に今、直面している。
「ぜ、ん属性。です。」
「せ、せんせぇ!」
辛うじて言葉を紡いだ我がSクラスの担任、アルビレス先生が目をまんまるにしてこちらを見ているのに、私は本当、縋り付きたかった。後ろを見るのが怖い。先程までの喧騒が打って変わって、怖いほどの静寂に変わっているのが分かるからだ。
震える体を振り返ることもできず、目の前で虹色に輝く水晶玉の光が収まっていく様を見ていると、スッと私の横から手が伸びたのが分かった。
ビクリと反応して見上げると、思わず息を呑む。
銀色の輝くまるで精霊が宿っているようなキラキラ輝く美しい髪は短く切りそろえられていて、対象的に蠱惑的な悪魔のような真っ赤な目は私を見下ろしている。微笑みを携える顔は恐ろしいほど整っていて、絵画のようなその唇が体の芯までしびれさせるようなその美声を吐き出す。
「次は私の番だね。」
「はひ。」
体は程よい鍛えられ方で、引き締まった体躯は服の上からでも素晴らしいと分かる。情けないことに返事とも取れるか微妙な私のリアクションにも、隣の神を体現したような美男子は気にすることなく、自分の手を水晶玉にかざす。
途端、水晶玉は虹色に輝いた。…再び。
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