第32話
「君は、ケイス嬢だね。キャロ…ラングレー嬢の監督責任者として、彼女の非礼を詫びよう。すまなかったね。」
「そんなっ、ミカエル様!」
「いいんだよキャロ。君の面倒を見ると、僕は父上に誓った。君は少々他人に対して距離が近すぎるところがあるから、これからゆっくりと学んでいけばいい。きちんと見ていてあげるから。やれるね?」
「っっ、はいっ!頑張ります!」
皇太子が抱きつかんばかりに近づいてきたキャロラインの頭を撫でて微笑む。ゲームではこの優しい挙動に、やっぱり王道皇太子!とテンションが上がったものだ。
これが現実じゃなけりゃただの物語の1ページとして見れたのにね。でも、今となってはそれは無理な話。
『へぇ、監督って、こうやって自分の婚約者をほっぽって、白昼堂々、ハーレム状態で仲の良さを見せびらかすことまで含まれてるんですね!』
と、出てきそうになる暴言を飲み込んでヴァネッサに笑いかける。
「ヴァネッサ様。どうやら皇太子殿下はラングレーさんの
勿論、皮肉は言うけどな!
つまりヒロインの相手で暇がないなんて能無しは放っておいて、自分たちは帰りましょうと言ったのだ。令嬢たちの登下校は、当たり前に婚約者のエスコートが必要。勿論、朝はこの人たちは彼女たちをエスコートしてきたわけで、帰りも当たり前にそうするのが普通であり義務でもある。
私は、ヒロインにかまけて送れるわけがないバカどもを置いてもう帰っちゃおうぜと遠回しに言ったのだ。
勿論、意味の分かったこのやりとりを見ていた野次馬の中には吹き出した者たちもおり、プライドの高いカチュアなどは顔を真っ赤にして怒っている。
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