第29話
だけど、このヒドイン。私に見せた迂闊さはどこへやら。きちんとルートの手順を踏んでいるように見える。
「ヴァネッサ様、アレ、大丈夫なんですの?」
いつもの身内だけのお茶会。流石に貧乏な服装はだめだけど、それなりのものを身につければ参加OKなそれに、いつものように無理やり乱入していた私を暖かく迎えてくださったヴァネッサ様の呆れタイムが終わる頃を見計らって、彼女の取り巻きである侯爵令嬢が質問した。
彼女の促した視線の先にいるのは、同じ庭園の離れた席でお茶を飲んでいる面々。
言わずもがな、皇太子とその取り巻き、そしてヒドインことヒロインのキャロラインちゃんだ。
楽しそうにお茶をする面々。その中には勿論、私の婚約者のラビットもいる。キャロラインの隣には皇太子とラミト・ガーゴイル男爵令息。攻略対象者の1人である、国一の大商会の嫡男だ。
商人の跡継ぎのはずだけど、勉強は少し苦手らしく、うちの脳筋ラビットほどではないにしてもAクラスギリギリ。皇太子にいつもついて回っているグレゴリー以外の2名はS クラスには来ないため、婚約者のラビットはいいとしてもラミトはほぼ初めて見るのに近い。可愛らしい顔立ち。人好きのする人懐っこい笑顔。でも実は商家の息子らしく腹黒いという、小悪魔キャラだ。
キャロラインの正面にはラビット、皇太子の隣にカチュア、ラミトの隣にはグレゴリー。まさにヒロインハーレム状態である。
ちなみに、ヴァネッサの取り巻きには、カチュア、グレゴリーの婚約者である侯爵令嬢と伯爵令嬢がいる。もちろん私もいるので、ここにはラミトの婚約者以外が集結していることになる。
ちなみにラミトの婚約者は騎士爵の娘でラミトの幼馴染。ラミトルートでは、幼い頃から彼のことを知っている婚約者にヒロインが嫉妬してしまう、というすれ違いが起こったりして、プレイヤーをやきもきさせる。いやいや、そこで気づけよ。立場逆だから!
ラミトの幼馴染は領地の学校に通っているため、あまり出てこない設定だから、ここにいないのは当たり前だ。
それにしてもそう、なにが問題かって、ここにいる婚約者全員を差し置いて、ヒロインが堂々とハーレムお茶会を開いているのだ。そりゃ彼女たちのプライドを刺激するのは当たり前というか。ゲームなんてご都合主義当たり前だけど、”現実”にこういうことされると引くもんだね。
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