第20話
「あっ、同じクラスだったんですね!先程は失礼しました!」
来たな。と心の中で吐き捨てて笑顔で振り返る。予想通り、満面のヒロインスマイルでこちらを見ているのはキャロライン。
「あ、貴方は先程の?」
油断しているうちに、まるでそれが当たり前かのように、ゲームのセリフが口をついてゾッとした。
こうして私は、”ちょっと”思い込みの激しいヒロインの親友に成り下がるんだわ…。
「あ、覚えててくれてたんですか?嬉しい!これから同じクラスで3年間、よろしくお願いしますね!」
両手を胸の前でパンッと合わせて、ヒロインはそんなことを言う。この学園は基本クラス替えはない。だけど、成績次第では誰かがSに上がったり誰かがAに下がったりはあり得る。だけど、ヒロインは持ち前のポジティブさで、目の前の初めて会った女生徒が3年間同じクラスだと信じて疑わない。
「よ、よろしくぅ。」
ドン引きするあまり、貴族の仮面が外れたけど、それは少々許してほしい。仲良くしたくない!エエ子やけども!仲良くしたくないんやー!と、なぜか大阪弁で絶叫する脳内を必死に抑え込み、淑女スマイルでなんとか乗り切ろうとしていた私を前に、【物語】は進んでいく。
「あ、君は、さっきの?」
「…ああ、先程の。」
更にギクリとさせる声が。このゲーム、少々低予算のゲームらしく、声優はそこまで有名な人は使っていなかった。だけど、制作陣がにくいのは、これから人気が出てくるような、いわゆる原石を集めていたこと。超有名声優だったら、みんなが知っていてもおかしくないけど、一部の子たちはこれから磨き上げられる原石推しだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます