第10話

アシュリー・ケイスとは、とにかくヒロインのためのご都合女で、ヒロインのために人生を捧げる子。



生前、嫌いだったキャラ。



そんな彼女に転生できて嬉しい?



んなわけないだろ!



転生ものって好きで、小説も漫画もゲームも買い漁るほどだったけど。



こんな理不尽な転生なら、なにも現実に死ななくてもいいじゃないか。




転生ものでよくある神様登場もないし、私は一体、誰に暴言をぶつければいいの?



でも待てよ?



私はアシュリー。婚約者はラビット、それは決定事項。



だけどさ、学園はこれからよね?




「決めた!」


「お、お嬢様?」


「…どうやら寝言のようだが。」


「お医者様、お嬢様は大丈夫なんでしょうか?」


「ふむ、見た所健康そのものに見えます。大方、夜ふかしのしすぎによる思春期特有の何かでしょう。」



なんて、医者の失礼な診断結果を聞きながら、眠っている私は決意した。




とりあえず、ヒロインにすぐに堕ちちゃうような地雷婚約者とは婚約解消。



そして、それ以上に地雷なヒロインちゃんには近づかない。



そして。



「ヴァネッサ様と親友になるわ!」


「ば、ヴァネッサ様って、皇太子殿下の婚約者の?」


「ほう、お嬢様はなかなか豪気な性格のようですな。」


「そ、そんな恐れ多い。不敬罪に問われますわ!」


「はは。自宅での寝言など、誰も気にしますまい。」



眠っていた私は、寝言で叫びながらも、この時決意した。ヴァネッサの味方になって、ヒロインたちの前に立ちはだかると。



この時の私は、自分がアシュリー・ケイスらしい行動をしていると気づいていなかった。結局、私は生まれ変わって、アシュリーになったのだ。



ちょっぴり思い込みの激しい所がある、正義感溢れるキャラのアシュリー・ケイスに。

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