第4話

私はヒロインの視点でプレイをしていたから、どのルートでどんな行動をしてもヴァネッサは出てくる。


正直もう無視しなよ!私のことなんて!と高笑いする彼女の高慢に見えるスチルを見ながら突っ込んだこともあったくらい。



しかも皇太子ルートでもないのに出てくるのはなぜ?


皇太子には取り巻きが5人いて、彼らにも当たり前だけど婚約者がいる。学園に行くのは成人前の3年間。18歳の年に卒業と同時に成人の儀を受けるから、高位貴族の子息には婚約者がいて当然だから。


それなのに、悪役令嬢として出てくるのはヴァネッサの名前だけ。もちろん、嫌がらせの実行犯とか、ヴァネッサの後ろに侍る人たちとして皇太子の取り巻きの婚約者の令嬢は出てくるけど、彼女たちは名前すら出てこない、いわゆるモブに徹している。


結局彼女たちの罪もヴァネッサが被るも同然。勿論彼女たちも婚約破棄されたりはするけど、家を追い出されたり処刑されたりするのはヴァネッサのみなのだ。



ヒロインは、天真爛漫で、元平民のため、異性との距離が近い困ったちゃんという設定。いやいや、平民だってそんなベタベタしないでしょ、とヴァネッサ推しの私はヒロインちゃんをプレイしながらよく思ったものだ。



またこのゲーム、とにかくヒロイン無双がすごい。狙った攻略対象者とはバッドエンドが少ないし、最悪なことにハーレムエンドまである。正直、私はハーレムエンドは好きではない。当たり前だけど現代人として生きていると、複数の異性を同時に愛するなんて夢物語は、たとえゲームの世界でもありえないと思ってしまうからだ。

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