お付き合い始めました。

第51話

『…ありがとう。』



そう言った社長の笑顔は、まるで子供のようで。


「あー…。あれ反則だよね。」



起き抜けに痛む頭を撫でながら、思わず口にする。



寝返りを打って目の前のスマホを見る。まさかね?



「…あー、夢オチとかもないよねぇ。」



スマホのメッセージ欄には社長の文字。フルネームで登録してあったけどね。なんかさ。なーんか、嫌で。


名前のままでいたらなんとなく親近感というか、慣れが出ちゃう気がして。いつまでも馴れ合わないように。いや、馴れ合いたくない・・・・・・・・のかもしれない。とにかくそうならないようにわざわざ名前を変えた。



まぁ、メッセージのやり取りする仲なのに登録名が社長なのも変な気がするけど。



[おはよう。]



私が目覚ましより先に起きた理由を見る。



どう返そう。



既読が付いてしまったことに内心焦りつつも、どう変えしたらいいのか分からなくて指が動かない。



おはよう?


おはようございます?


おっはよーございまーす?


…す?



どう返すべき?しょうもないことでモンモンとする。

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