第49話
「かんぱーい。あー美味しいー。うまーい。」
はい出来上がりました。こうなると先輩はこの3つしか言わなくなります。そして、次の日には忘れています。しかもこれ、ちゃんと帰ってくださいね。この魔法の言葉できちんと家まで帰ります。
といっても先輩の家の前までは私もタクシーで行くんですけども。先輩と飲む日は会社に車を置いて帰る。それくらいしても何も言われない素晴らしい会社である。社長を前に声を大にしてやってるとは言えないことだけどね。
なので先輩はクリア。ここからはラスボスとの時間である。
「それで?なんでそんな嘘を?」
「いや、嘘ではないよ。君は俺を拾って、俺が拾われた。それが事実だ。」
「イコール付き合ってるというのはいささか強引だと思いますけど?」
「かんぱーい。あー美味しいー。うまーい。」
社長が首を傾げる。心底不思議だとでも言うかのように。あれ?最近国語の教科書の内容が変わった?
ーー人を拾ったら、その人とはお付き合いをする関係になることを了承するということです。なので、落ちていても安易に人を拾うのはやめましょう。
はい先生。私は今、それなりに後悔しております。
「いやいや、流石にそれはなくないですか?」
「まぁまぁいいじゃないか。」
「かる!そんなんでいいんですか!」
「いいんじゃないかな。そんなもんだよ。人との縁なんて。」
軽く言う社長に、私の方がよく分からなくなってきた。いいのかそれで?いいのか?んん?
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