第48話

ジッと見ているとますます、赤の範囲が広がっていく。耳だけだったのが顔全体。ちょっと下を見てみれば手も赤い。ほんとに赤面症なのか?会社の社長のお言葉の時はそんなことないのに?



「あのー、2人は一体どんな関係なんですか?」



首を傾げている私に間宮先輩からの質問!顔がニヨニヨしてるのは気づかないふりをしておく。



「関係…。」


「付き合ってます。」


「あり、は?」



関係というほどの関係はないので、語彙力のない私は関係ありませんと答えようとしました。それなのになぜそういうことを言うんでしょうか?



目をかっぴらいて社長を睨み上げたけど、社長は赤い顔のまま。表情はいつもの余裕の笑顔なのに。嫌な予感がして間宮先輩を見れば、うわぉ、今にも私を殺しそうな目で睨んでいた。




「せ、先輩?」


「凛ちゃん、お前。彼氏と別れたよな?なぜ次の日には更にスペックの高い彼氏を用意してる?さては貴様、モテ族だな!」


「先輩突っ込むとこが斜め上ですって!」



普通はそこは私が二股かけてたとかあらぬ疑いをしちゃうところでは?自分で言うのもなんだけど、社長の言葉を聞くなら私が二股かけてたか社長が冗談言ってるかの2択では?



どちらもに反応せず独自の見解でブツブツ言っている先輩が面白くてしょうがない。今も爪を噛みながら恨みつらみを吐き出している。



「なぜ私は非モテ族なのだ!世の中どうなっている!」



おっと、先輩の思考があらぬ方向へ。



「先輩。とりあえず乾杯しましょう。」


「あ、はい。了解しましたモテ族様ー。」


「ぐふっ。んん!」



訳の分からない言動に思わず吹き出す。そこで判断した。これ、めちゃ酔ってるわ。



どうやら、先程の沈黙タイムが功を奏したらしい。待機時間中に先輩の酒量が軽く上限を突破した模様。



考えてみれば、店員の子がビールの他に何個か手に持ってたような。それが今先輩の隣で軽くを残して枯渇しているところを見ると、今の先輩の状況は分からんでもない。

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