第47話

…しばしの沈黙。途中、高速で店員さんがビール取皿を持ってきたけど、それからもさらに無言。


周りは騒々しい。そりゃ居酒屋ですからね。ここはお酒を楽しく飲むところです。



ここは場末の居酒屋。会社とかそういう、立場が関係する場所でもありません。だけどなんだろう、この場の沈黙を破るべきなのは今、私の横で私をジイッと見つめてニコニコしているこのスーパーイケメンだと思うの。



間宮先輩よりも、最近初心者マークが取れた私よりも、雇い主である社長!そう、この人が話し出せばいい話!なの!


それなのになんで、ニコニコ私を見てるだけなのよ!



「社長、私の顔に何かついてますか?」


さっき食べた鶏皮のネギとか?



「いいや。可愛いなと思って。」


「…あざっす。」


「…いや、うん。」



自分より美しい人に可愛いと言われても説得力に欠けるのか、普通なら悶絶ものの台詞にも謎の塩発言が発動してしまった。



そのリアクションに面食らったのか、そうでないのか。



突然口ごもった社長…。みるみる内に耳が真っ赤になっていく。



初めて会った時から思ったけど、この人なんですぐ赤くなるの?赤面症かなにかなのか?

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