第42話
「飲みにいかない?」
「うっす。お付き合いさせていただきます。間宮先輩。」
「だよね。パーッと飲もー!」
終業時間、間宮先輩がデスクに来た。早速のお誘いに自分の体調も忘れてOkする。だって。間宮先輩と飲むの楽しいもん。今日は流石にお酒は飲まないけどね。
ちなみに天美千夏は終業10分前にはもういない。彼女、いつも何しに来てんの?と思うけど、悲しいかな、賃金は同じなんだよねぇ。
勤続年数や役職で違いは出ても、基本給は同じ。まだ入社4年目に過ぎない私は、これだけ働いても全く働かない天美千夏とお給料に大して差がないのだ。
世の中不公平。なぜか恋人繋ぎで私を引っ張る間宮先輩に連れられながら会社を出る。徒歩10分。会社の近くにある飲み屋街は、電車の高架下にあって、うるさいけれど活気のある、それはそれは風情のある下町感が溢れていた。
【ビール最安値300円!】と書かれた1番初めに見える店の垂れ幕を見てホッとする。おしゃれなレストランももちろん行くけど、こういう所で取り繕わない飲み方をするのも好きだ。
失恋した私を迷わずここに連れてきてくれる辺り、間宮先輩ってやっぱり分かってると思う。
仕事ができて面倒みもいい。
「今日は凛ちゃんの奢りね!お金ないから!」
「…承知。」
飲み代にお金使いきっちゃう所は直してほしい所だけどね。
冗談だと笑う間宮先輩と、いつも行っている居酒屋に入る。そんな私達を見る存在には気づかずに。
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