第38話

「ドライブかぁ。私もちょっと前まではしてたなー。頭の整理するのにいいよね。」


間宮さんが話に入ってくる。助かるー。さっきから失恋に繋げようとしてる天美千夏のほっぺをバチコーン!って殴る所だったから助かったわ。



「そうなんですよ。昨日も残業で。頭ぐちゃぐちゃだったんで。」


「あー、あれねー。ごめんね!」


「いえいえ!間宮さんのミスではないですし、大丈夫ですよ。」


「ありがとー!凛ちゃん好き!」



親指を立てて男前に言ってくる間宮さんに、自然と笑顔が溢れる。対して天美千夏は自分のミスのカバーをして私が残業してたのに気づいたのか、どっか明後日の方向を見て聞いていないフリをしている。



考えてみれば、こいつのミスのカバーで残業した上彼氏寝取られたって、私、散々だな。


「ぷっ!くくくくっ!」


「どうしたの凛ちゃん。」



間宮先輩が突然笑いだした私に戸惑った声をかけてくる。でも、なんか、色々とさ。



「いやー、昨日、彼氏とお別れしたんですけど。考えてみたらあんまりダメージないなって。」


「え!まじで!彼氏って羽瀬だよね。」


「ですです。理由は流石に伏せますけど。ドライブまでして確かに昨日は悲しかったはずなんですけどね。」


不意に、社長のご尊顔が浮かんだ。イケメンやん。


「一晩寝たら、大したことなかったかもです。」


本当に、心からそう言えた。

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