第37話

「はよございまーす。」



来た。来たよ。


しかも安定でいつも通り。夏生の様子から、あの動画が出回ってるのを知らないはずないのに。


恐るべし、天美千夏のメンタル。


「あ、せんぱーい。おはようございまーす。」


「…おはよ。」


しかも、私に対して見下したようなドヤ顔。これは確実に知ってるやつ。


しかもマウント取りに来てない?私がアンタの彼氏奪ってやったのよー、的な?



「せんぱーい。なんか元気ないですねぇ?なにかあったんですかぁ?」


そして確信を持って攻撃してくる自体、やっぱこいつ、いい性格してるわ。



「うーん、私も夜ふかししちゃってねー。久しぶりにドライブしたんだけど、夢中になりすぎて。」



主に夏生への悪態と社長のお顔にですが。と、心の中で注釈を入れておく。



「ふうーん。ドライブなんて。なんか失恋でもしてヤケクソになったみたーい。」



ご指摘の通りですよ、と爆発しそうになるのを必死に抑えて笑顔に努める。ニヤニヤ顔の天美千夏は、嫌らしさが全面に出てて普段の可愛らしさは皆無だ。

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