第34話

結果、天美千夏ってゴミ女も寄っていったから、なんともいえないんだけど。でも世間的には天美千夏ってモテる部類に入るわけで。



彼女目当てに私に対する夏生みたいに会いに来ている男性社員もまぁまぁいた。



その中でなぜ夏生を選ぶんだあの痴女は!と叫びたい所だけど。



「凛ちゃんごめんね。天美が昨日やってたここ、間違えだらけなのよ。今日使うから残業してでも仕上げろって言ってたんだけど、どうやら定時に帰ったらしいんだよね。」



知っています。残業していたのは私ですので。そんな案件を抱えていたとは思えないくらい、爽やかな笑顔で『お疲れ様でしたぁ。』って言ってたよ。語尾にハートが付くんじゃないかってくらい嬉しそうに。



んで、残業終わりで疲れて帰る私と、私の彼氏とベロンベロン状態で帰る奴らが同じ電車に乗った、と。



「私がしても良かったんだけど、ちょっと午前中にやらなきゃいけない仕事が回ってきてさ。申し訳ないけど、14時の会議に間に合うように仕上げてくれない?今からじゃ天美に任せても無理だろうから。」


「へい。分かりやした。」


「ふふ。ごめんね。頼んだわ。」



わざと口をへの字に曲げて言えば、間宮さんが目を細めて笑う。





「どんまい。俺ならしない。」


「厚木さん。またそんなこと言って。」


「まぁ、私もやらんでいい仕事を振った自覚はあるわ。今度コーヒーおごる。」


「あ、いえ、それは大丈夫ですけど。」




正直、天美千夏は仕事ができない。しかもやる気もないから、この部署では簡単な仕事しか回していなかったりする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る