第32話
「はぁ。」
会社の前で何度めかも分からないため息を吐いた。シャワーを浴びてコンビニに駆け込んで、酒臭さをなくす方法を試しまくった。
電車の中では酔いそうになるし、ここに歩いてくる中でもなんとなく胃の辺りがぐるぐるする。
体調が万全じゃない中、なんとかたどり着いた会社。まだ昨日の騒動が知られてないだろうけど、気持ち的な問題で会社に入りたくない。
鬱々とした気持ちのまま、今日を乗り切れるだろうか?夏生のバカが仕事中に突撃してきたら?だって教えてない家に突撃してきたやばい奴だよ?
私ってやっぱり、男を見る目がないんだな。大体私の家とか、どこで知ったのよ。怖すぎるんですけど。
社長はあのあとどうなったかな?夏生がいたから移動手段には困らなかっただろうけど。
拾ったのなんだの言ってたけど、イケメンの冗談だよね。まったく笑えないけど。
けどけどけどけど。ひたすら色々な思考を飛び交わせている間も、同僚たちは大きなビルへ吸い込まれていく。私も普段はなんの躊躇いもなくビルに突っ込み、出入り口のセキュリティーでパスを通してオフィスを目指している時間帯だ。
なんとなく酒臭い気がするし、体調もよくない。最悪な気分だし、なによりあの浮気騒動がいつ会社にバレるかも分からない。最悪、今から出勤するオフィスが地獄の空気になっている可能性だってある。
もう一つ大きなため息を吐いて、まったく覚悟が決まらないまま、よたよたと足を進めた。
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