第31話

「信じたところで事実は変わらない。浮気してのはあんたでしょ。終わりだよ。」



どれだけこの男を好きでも、どれだけ想っていても。この男は私じゃない女と、体を重ねた。



もうそれだけで、無理。気持ち悪い。



今時間は分からないけど、さっき車のナビで見た時は今は朝の4時頃。もう寝てる時間はないけど、スマホの充電もしなくちゃいけないし、何より酒臭い自分をどうにかしなくちゃいけない。コンビニに駆け込んで口臭対策のあれでも買ってこないと。



シャワー浴びたいし今日は電車で通勤しなきゃだからいつもより時間がかかるし。



意外と冷静に働く頭が、早くこいつを追い返せと告げている。



もうその時点でだめなのだ。私の頭の中ではもう、夏生とやり直す未来はない。薄情とか言われてもいい。もう本当に、ない、のだ。




「帰って。社長もです。」



もういいや。面倒になった。さっきまで社長を拾った拾ってない論争してたのに。本当に気持ちが、それどころじゃないのだ。



社長には申し訳ないけど、ちょっと休みたい。2人を置いてエントランスを目指す。誰も話しかけてこないから、分かってくれたと信じて。私は家に帰った。

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