第27話

「夏生。」



社長の声は、魔法のようにするりと耳を擽る。1年に1回ある新年式で聞く社長のお言葉では、女性社員は勿論、男性社員でさえ聞き入ってしまうと評判だったりする。


かくいう私も、毎年楽しみにしていました。


呼ばれてる名前が夏生のクソ野郎なのが残念だけど。


こんなやつの名前呼ぶなら私の名前を呼んでほしい。


有名人に今だけ独り占めだからって要求するようなもんよね。


『凛。』


なんて甘い声で呼ばれてみ?録音して目覚ましにするわ。最高。



「…あれ?なんで兄貴が。あ、凛!」



はい。要らん『凛。』来ましたー!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る