第26話

それにしても、よ。


体の関係にならないように、私と夏生のデートは基本外。夏生の家は勿論、自分の家に呼んだこともない。


だから、夏生が私の家を知ってるわけもなく。


マンションの玄関の階段に座って顔を伏せて寝ているけど、あれは確実に夏生。ここにいるはずのない人間がここにいるというのは、めちゃくちゃ怖い。



社長とのやりとりだけでも疲れるのに、さっきまで深酒してた私にはこの状況は耐えられないほどの混乱を運んできた。



「大丈夫。」


「え?あ!」



余裕の表情で言った社長は、私が止める間もなく車を出てしまう。慌てて私も降りたけど、社長の足が長いのか、すでに夏生の近くまで近づいていた。



歩幅の問題なの?小走りの私が追いつけないんですけど!


駐車場からほんのちょっとだけど距離があるとはいえ、この距離が悔しい。正直お酒がまだ回っていて小走りもできてないんだけど。

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