第19話
そこへ、信号が赤になって、車は静かに止まる。社長はハンドルにもたれかかって、こちらに笑みを向けた。
おい、なんかのCMみたいだな。
「でも申し訳ないけど俺、君に一目惚れしたんだよね。」
パクパク、パクパク。再び開いたり閉じたりの口。その間に信号が青になったのか、後ろで派手なクラクションの音が響く。正直それどころじゃない!って後続者に怒鳴り散らしたいくらい。
だって今、この人なんて言った?
すぐに発進した車、見える横顔の耳が赤いのは見間違いじゃない。
え、なに?今、会ったよね?会ったばっかりなんだけど?
「恋人を罵って、傷ついて。涙を流しながら叫ぶ君が、可愛いと思った。」
ボソリと紡がれた言葉。あ、このイケメン、変態です。
めちゃ照れている社長を見ながら、意識が遠のきそうになる。
ハッと気がついて、顔を振る。ああ、お酒が回る!私はもう二度とお酒は飲みません!
「でも!付き合うってそんなんじゃないと思うんです!」
お互いの知り合う期間があってお付き合いしてください、はい、お願いします。その工程も大事だよ?なにも知らない同士でいきなり付き合うって、そんなん!
でも、知り合って、信頼しあってから付き合っても。
「でも、それでも浮気するやつはするだろ?」
社長。ごもっともでございます。
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