第17話

「ど、どう、といいますと?」


「拾ったら、めんどうみなくちゃ。だろ?」


「いや、めんどうって。」



どちらかといえば私が面倒見てほしいわ。これから何食わぬ顔で会社に行かなきゃいけない心労の方がものすごい。



「ええと、むちゃくちゃ言ってますよね?確かに普通じゃないことしてるって自覚はありますけど。だ、第一、私達初対面じゃありませんか!」


「まぁ、そうだな。」



か、軽い。やっぱり社長となると女性なんてその辺でいつでも買えるグミくらいなのかしら。会社の社長イコール女好き、というものすごく一方的な偏見を持っている私は、隣のイケメンを一気にクソ野郎認定した。



「車に乗せておいてなんですけど!私はそんな、軽い女じゃありませんから!」


「まぁ、そうだろうな。浮気されて1人にも関わらず車できたあそこでやけ酒するような女なんだから。」



パクパクと口だけが動く。え、めっちゃ聞いてるじゃん!



「羽瀬夏生。俺の従兄弟なんだよね。確かあいつ、最近付き合い始めた女がいるって聞いてたけど。まさか浮気するようなアホだったとは。」


羽瀬。そうよね。夏生も羽瀬だわ。今気づいたんだけどまさかの、社長の親戚?あいつコネ入社なの!?まぁ有能だったけど!だったけど!社長の従兄弟で営業にいるってある意味ズルいよね。夏生の成績の裏側を知ってしまった気がする。

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