第16話
「ええと。」
「ん?」
「…なんでもありません。」
大人しくナビの自宅に戻るに設定して、車内にはカーナビの声が響く。それをようやく、変える決心をしたというのに。
まだまだ残る酒の勢いを持ってしても、超絶イケメンに「貴方を拾った私はこれからどうすればいいんでしょうか?」とか聞けない。
深ーいため息を吐いて窓の外を見る。諦めよう。これ以上は無理よ。
お酒に強いからさっきの酒量くらいで自我を無くしているわけでもないし、寄って吐いて大事になって有耶無耶にすることもできない。
イケメンは運転もうまいのよね。もうアラ探しなんて面倒なことはとっくの昔に放り投げたわ。
これで良かったのでは?社長だけど、運転してくれるっていうんだもの。こんな、明らかに女に困ってない人が私を襲うってわけでもないだろうし。
しかも、さっきこの人、移動手段もなくあの場所にいたんだよね?経緯は分からないけど、この人も多分訳ありなんだわ。
訳あり同士、いいじゃん。私は運転手が欲しくて、社長は交通手段が欲しかった。うんうん。ウィンウィンよ。
勝手に解釈して窓に向かって微笑んだ。
「で、これから俺達、どうする?」
「は?」
のに。わけの分からないことを言うんです。この社長は!
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