第14話
「でも、家には帰るよな?」
「ま、まぁ、お酒が、抜ければ?」
それは翌朝お昼前位になりそうですが、と頭の中で注釈をして、ギギギ、と社長から目を逸らす。大体なんなんだこの人。突然そんなことを聞いてきて頭大丈夫か?それも、なんだか親しげなんだけど。初対面だよね?だよね?
厳密にはそうじゃないんだけど。入社式の壇上と下の椅子に座るその他大勢は会いました1にカウントできるわけがないよね?
ふ、と社長が笑う。なんだその甘い笑みは。イケメンか。
社長のお顔の眩しさに手を翳していると、社長が穏やかな声で聞いてくる。
「見るに、困ってるよな?クラクション鳴らしてたし。」
「うぐっ。」
ここにいたということはあれも聞いていたというわけで。まさか叫んだ内容まで聞こえてないよな?と冷や汗が止まらない。
抜けていく。アルコールが冷や汗で抜けていく。このまま冷や汗を流し続ければ私は、あと1時間くらいで車が運転できるのでは?と錯覚しそうなくらいだ。
余裕の笑みを崩さない社長は目を細める。そして。
「お前の頼みを聞いてやるから、俺を拾ってくれるか?」
そう言った男の顔は恐ろしいくらいに整っていて…。
面食いだった私は思わずそれに、頷いたのだった。
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