第5話
そして、冒頭の叫びに戻る。
勿論チューハイを飲みながらメッセージアプリLIMEを送っておいた。
『別れるわ。クソ野郎が。』
このメッセージに他人のSNSに上がっていたあの馬鹿みたいな光景の動画を貼り付けて。
すぐさま数人のアカウントに上がっていたさっきの茶番劇。ご丁寧に電車の路線までハッシュタグがつけられていた。勿論バカップルというハッシュタグもございましたので数分探せばズラッと候補が出た。
それを貼り付ければまぁ理由は十分だろと友達登録を解除。
「ばーーか!」
10本買った缶チューハイが6本空いたところで寝転がって天を仰いだ。
素晴らしい夜空が歪んで見えるのは私の目から塩水が溢れ出したからだ。
あーあ、恋愛でまた泣くって。私って全く学習してないよな。そう思い、自嘲の笑みが漏れる。
私はいわゆる寝取られ体質ってやつらしく、小学生の時の初彼たけしくんを始め、歴代の彼氏からはことごとく浮気されて別れていた。
まぁそんなにモテる方でもないので、付き合った人数は片手の指で足りるけどね。それでも毎回傷ついて、落ち込んで、どんどん恋愛が怖くなっていった。
今回の夏生も、相当な勇気がいったのに。
「もう、だめかもしれない。」
涙声で言った言葉は、新しく空けたレモン味で満たされていく。
正直、恋愛体質ではないけれど、これからの人生、恋愛ができなくなると思えば大海原へ小舟で放り出されたような気分になった。
仕事に生きる!というほど仕事に情熱をかけるタイプでもない。
井倉凛という人間は一体なんだったんだろうと、虚しさしか感じない。
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