第44話 アムダ

「お前達、何者だ」



地ノ国、古代ではマティアラと言われる。その国には門番がいて、人間とエレモン(武者マルの進化個体、殿マルとのまる)がこちらを睨んでいる。


殿マルは武者マルとは違い、少しだけ大きくなっている。赤い着物、紅刀、怖さも出始めている。



「妾は、コノ国の民ダ。ソレに王族関係者ダゾ」

「っ!? し、失礼しました!?」




ファランは王族。王族の印のペンダントを見えると門番は大慌てで俺達を通した。俺は殿マルに手を振ってその場から歩き出す。



国は大きな円形状の壁によって囲まれている。中は黄土色の建物が乱立している。建物中は水色の光の蛍光灯が見えている。


現代より古いイメージな風景だが、それでも暮らすには問題がなさそう。エレモン世界の古代は技術はすごい。



「おおー、色々売ってる!」

「アムダ、金は持っテルノカ?」



 あ……金持ってねぇ。ゲームの時は現代の所持金がそのまま持ち込みで買えたけど。今は使えねぇよな?



「このお金使える?」

「無理に決まっテルダロ」




現代のお金をファランに見せたが流石に使えないらしい。まぁね。古代の代物を現代で売るなんてせこい真似をする必要なんて、俺にはないけどね。



うん、そんなつもりはさらさらないね! 本当だよ




「アムダ様、この国は今はどんな状態なんですか?」

「まだ、戦争はしてない。それよりも前、『ディアボレア』の兵器がそろそろ来ると思う」




ディアボレアが作り出した兵器エレモン。化学兵器とエレモンの融合した恐ろしい破壊力を持っている。



それを倒すことができれば、DLCのストーリーは終わりを迎える。ファランが登場して、過去飛んで、敵を倒して終わるだけ。



意外とあっさりとしてるんだよな。まぁ、初めてファランが出てきた時にエレモンバーサスやるから、そこでプレイ時間はかかるんだよね。




「……古代はこんな感じか。他の国も興味あるけど……まぁ、どうしても観たいってほどじゃない」




 ゲームだとこの国以外には行くことはできない。移動できるマップが決まってしまっているからだけど。




「そろそろ来るよな」

「アァ、エネルギーヲ感じル」





 ファランはエネルギーを感知できる装置を長い間寝ている間に作ったらしい。だから、分かるらしいけども。



 俺は単純にゲームでのストーリーの流れからなんとなくで予想をしている。うーむ、そう考えると彼女はすごいなぁ。



 さてと、相手のエレモン兵器『ディザスター』と言われているのだが……全身が機械で覆われている。機械の鎧に覆われている銀色の龍。明らかにジーググラモンを意識したであろう見た目をしているのだ。



 ただ、腕についている銃がスナイパーライフルのように長い。しかもその一発がとんでもない威力を持っている。



 ランクは一応……Lランクである。



「一応、連れてきたスタメン全員出すか……現代なら派手に出すと管理協会とか色々あったけど。古代なら遠慮はいらんだろ」



 

 敵国、王はもうすぐこちらに到着する。この国と近すぎる場所で戦うと余波で国が滅ぶ可能性があるのでそろそろ出発しよう。


 元々はこの国を存続させたいという思惑があったんだしな。



「そろそろ国を出て、向かおう」

「ウム、分カッタ。オイアムダの腰巾着、行クぞ」

「あああああああああ? 僕に言ってます!? あああ!?」





 ラリラ博士は俺の腰巾着と言われるとびっくりしたような顔になり、ファラン睨みつける



「失礼ですよ! いや、あってますけど!」

「ナラ、良いダロ」




 国の外に出てから、俺はエレフォンからジーググラモンを放出した。黄金の輝きが周囲を照らし、それを観た古代の人々が少しざわついていた。



「妾のジーググラモン、ヨリも強い……聴き忘れてタガ、何処デ捕獲シタ?」




 ファランはだいぶ気になっているようだが、そこに関しては説明してもしょうがないのでスルーをしておこう。



 元々はあなたの一族が作って、ゲームの世界から持ってきましたとか言ったところでね。




 全員を背中に乗せて、空を飛んだ。灰色の空を黄金が照らし、太陽のように輝いた。




「◾️◾️ッ」

「……ジーググラモン、妾に懐イテイルのか? 妙な感じダ」




 ジーググラモンはゲームの時の記憶がちゃんとある。元の持ち主である彼女に対し、親近感を残しているのだろう。



 空を飛びながら、『ディアボレア』の方に飛んでいく。ゲームなら相手が、ファランの国に直接きてから戦うことになる。マップ移動もできないからね。相手が来るまで待つしかない。



 しかし、現実なら多少の融通が効く。






「居タ……ディザスター」





 ファラン呟く先には銀色の龍が空に佇んでいた。その周りには飛行船が沢山飛んでいる。

 

 あれは敵国の王とか手下が乗っている。あそこからラジコンのようにディザスターを操っている。




『──ジーググラモンの持ち主、マティアラの手の者か。抵抗しないなら楽に殺してやるがどうする』




 マイクで話したように、大きな声がこちら側に聞こえる。飛行船の中からこちらを観て話しているのだろう。




「悪いけど……




 さっさと、倒したい。しかもあまり手間をかけたくはない。ディザスターと言われるエレモンだが意外と強い。



 レベルは100だが、改造エレモンに加えて兵器が融合されてる。本来のステータスに加えて大幅な補正がある。



 エレモンはランクごとにステータス総合値が設定されている。攻撃、防御、生命、俊敏、魔素。この五つが基本ステータスとも言われる。



E1800

D3000

C3600

B4200

A4800

S6000

G7200

L9000 



 五つのステータス部分がそれぞれ振られている。これは限界突破120レベルでの総合値での話だが、相手はLランク。


 ランクごとにステータスはやはり高くなる。しかし、それ以上に改造と兵器の融合がある。ゲームだとレベル100にしてはあり得ないくらいの強さが設定されている。



 一丁前に【装備】も良いのをつけてる。しかも、一つじゃなく、四つくらいしてるんだっけね。これがDLCでは一番難しいところだったと言っても過言じゃない。


 初めて、やった時は10。11回目で勝てたんだよな。やたら会心ダメージを出してもくるしさ。



 だからこそ……



「ちょっと、ワクワクしてきたかも」




 今なら圧倒できそうな感じがする。まぁ、俺がワクワクするより国の未来の方が大事だよね。これは一回しか出来ないし。コンテニューがない。




「うん……出すか【融合】スタードラゴ」




 黄金の龍。その上に、更に現れた。大蛇のように長く、しかし鱗は財宝の金のように美しい。




 ──その日、太陽が二つ世界に存在したと言われる。



 

テラゴラムとウミノゾア。これらは【スタードラゴ】と言われる星を作り出したエレモンから派生した存在。



再び、そのエレモンをこの世に呼ぶ。(二匹)




ジーググラモンはファランの一族がスタードラゴを、捕獲するため、再現するため作り出したエレモン。



対してディザスターはジーググラモンに対しての対抗策であり、模倣兵器でもある。




──そう、一見繋がりはないが妙な縁があるエレモン同士が対決する。




『アムダ、アタシも出るわ』




 クイーンも外に出てきた。俺の頭の上に乗りながら戦況を見る。または、相手の頭の中も読んでくれるのだろう。





『◇◇◇◇◇◇◇ッ!!!!!!!!!!!!!!』




 空を割くような大声が大気中に響き渡る。しかもそれが二体も存在しているのだから、凄まじい。



──星を作る天然の龍、国を滅ぼす兵器龍が激突する

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る