第43話 灰色の世界

タイムマシンは巨大な置き時計だった。彼女は特殊な板……エレフォンの原型らしい、そこから取り出す。形状は似ているな。



「コレ……使ウゾ。早速……起動」




ファランがタイムマシンを起動すると、俺、ラリラ博士、ファラン。そしてファランのジーググラモンが発行する。




──ゴーン、ゴーン




時計が鳴り始める。それが耳に響くたび、鳴き続けるたび、視界が少しずつ変化していく。



俺のテラゴラムが作った島が巻き戻るように、ただの海に戻っていく。景色が徐々に変わっていく。



そして、ついに時計の鐘が鳴き終わる。






「ここは……」




ラリラ博士が呟きながら辺りを見渡す。風化したような大地がどこまでも広がっている。空には灰色の雲が広がっている





「着イタ。マティアラの領土ダ」

「ええぇ!? ここがですか!? 随分と大地が痩せこけているような気がしますが」

「……ジーググラモンを作ル為、国の全テのエネルギーを使イ果タシタ」

「えぇ! そうなんですか!?」

「スタードラゴを作ル事ヲ、先代目指シタからな」





 ファランの一族は技術革新を起こす天才的な一族だった。その技術によって国の王となれるほどには凄まじいほどの技術を持っていた。



 先代はその技術を更に高めようとし、星を生み出したスタードラゴを目指したのだ。


 それによってジーググラモンは作られた。しかし、その代償として国のエネルギー、土の生命、植物の活力すらも奪ってしまった。



 それ故に一部の領土はこう言う感じになってしまっている。まぁ、ジーググラモンのエネルギーで森が育っている場所もあるんだけど。



 しかし、ジーググラモンは永久機関と言ってもは限られている。



 スタードラゴはLランクで同ランクなんだけども、実はスタードラゴは【融合】によって生まれるのだ。



 大地の化身【テラゴラム】と海の母【ウミノゾア】によって生誕する。



 融合によって産まれるエレモンはランクに+がつく。



 つまり【L+ランク】と言うことになる。S+ランク、A+ランクとかもあるんだけど。+が付くと本来の同ランクのステータスより1,5倍まで上がる。



 結論言うと、スタードラゴは星を作るほどだから目指したがそれは至れなかった。しかも、同時に兵器としてのジーググラモンを恐れた他国も色々と開発をしているからな。




「コノ時代は、ディアボレアが攻メて来る直前。幼イ妾もイル。ナルべく、バレないように行動スルぞ」




 彼女は時代を超えてきているから、幼い彼女も存在している。ファランは敵国ディアボレアの兵器だけを壊すことを目的としている。


 自身の国に攻めてきた時、迎え撃ち兵器を壊す。それが目的であり、計画である。




「思ったのですが、戻った時間軸がここでよかったのですか? 国の存続が目的なら他にも候補はあるのでは?」

「イケる時間軸は限られテル。何度モ派手に時間移動スルト……【歴史の神】の怒りを買ってシマう」

「歴史の神ですか……? アムダ様、エレモンでしょうか?」

「うん。と言われるエレモン」




 大分先に出てくるエレモンだけど、時間管理者とか歴史の神とか言われているね。スケールが段違いなんだよ。物語とかが進むほどにインレフとかして行くよね。


 3体持ってるけど。ただ、あんまり力は使っていない。そもそもの力が強すぎるし、時間の管理者とか、歴史の神とか言われているから。


 世界の均衡を崩すような状態でしか力を使わない。なぜなら、クロニス自体が世界の均衡を崩すような存在だからね。



 島ではおとなしいよ。いつも、3体でお茶してる。最近は紅茶とか研究しているらしい。ダージリンとか。




「クロニスですか……あ、名前だけ文献で見たことはありますね。時間の裂け目とかに居るとか。歴史の神、時間介入をする存在を抹消したりするとか。あれ!? 今の状況やばくないですか!?」

「まぁ、クロニスが介入してきてもおかしくはない」

「ええ!?」

「でも、ファランにはジーググラモンが居るし、ここで派手にやり合うと余計に歴史が動きすぎたりするから様子見してるらしい。世界の均衡を崩す程度でなければ動かないよ」

「……なるほど。あまりに強い存在は動くだけで均衡を崩してしまうから。動かないのではなく、動けないのですね。それにしても、ファランさん、危ないですね。クロニスに監視されているのでは?」




 ゲームの設定だと、目はつけられていたらしい。ただ、ジーググラモンが居たから見逃されたとか。単体でタイムマシン使ってたら介入してきた可能性があるって言われてた。



 まぁ、してこなかった可能性もあるらしいけど。




 そこら辺は前世のネットでも解釈が分かれてたな。



「あ、アムダ様、もしかして歴史の神が介入してきたらやばいでしょうか? 勝てないですかね?」



 ラリラ博士が思いついたように聞いてきた。


「介入はそもそもない」

「あ、そうですか。面白くないな」

「……こっちにはクロニス3体居るから手を出そうにも出せないだろうし」

「あ!? あえ?! ど、どうして3体!?」

「普通に捕獲、映画の前売り券特典、ネット配布」

「ふざけてるんですか!?」





 全部本当だけども。さてさて、古代を見学するか。一度、見てみたいとは思っていたしな。




「アムダ、見学スルか? 案内スルぞ」




 ファランがそう言ってくれるので折角だから、一緒に観に行こうか。ゲームだと古代でしか買えないアイテムとかあるけど



 これを買っておいて、現代で売ると高値に……ああああああああああああああああああ!?



 そうか、高値になるのか!!! 今のうちに買っておいて、それを現代で売ろう!!




「アムダ様、古代の道具を買って現代で売ろうとしてます?」

「だとしたら?」

「……あの、それって広い意味で時間に干渉してるからクロニスに目をつけられるのでは? まぁ、もうされてるだろうとは思いますが。その、大丈夫かなって」

「大丈夫。多分。あっちも融通きかしてくれるよ」

「それならよかったです! 沢山買いましょう! 博士も気になっていたのです!!」





 空は灰色の雲で覆われているが気持ちは晴れやかな気分だ。そういえば敵国の兵器のせいで太陽が隠れてしまっているんだとか。

 

 光が消えつつある世界は灰色の世界と言われているとか。




 全部倒すから大丈夫だけど。



 

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