オファー②

 僕たちが作る作品たちにはメッセージ性が強すぎるものが多数ある。ネットやSNSで盛んに曲に対する感想が飛び交い、有名な人から曲を初めて聴いた人まで様々な人の考察も溢れている。誰かが正解を求めたいと思うのは理解できる。


「理解しようっていう気持ちすら忘れられるような曲をまだ作れてないってことだね」

「……それだけまだ、さらなる高みに行ける」

「そうだね。この3人なら多分きっと……」

「強いて言えば……」

「え、何かな?」

「いつかやりたいなって思ったのが、歌詞で掛け合いをしたいなって」

「なるほどなるほど」

「なんて言ったらいいか分からないけど、上書きとか変化とかを違う声でって。私はあくまで同じ声の高低をいじれても歌い方もトーンやニュアンスも変えれないから」

「……分かった。千尋レベルはそういないとは思うけど、探してはみるよ」


 こんな話をして数分後、とある人からメールが届いた。

メールタイトルは「お願い」

また取材の依頼?こんな時間に?デリカシーとかモラルがなってないんじゃ?なんて思いながらメールを開くと、予想の斜め上をいく内容が書かれていた。

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